『あの娘が海辺で踊ってる』(12)、『おとぎ話みたい』(13-4)など、みずみずしい青春映画で同年代の観客を中心に熱狂の渦を巻き起こし、『溺れるナイフ』(16)では著名人をはじめ多方面からの称賛により驚異の口コミで大ヒットするなど、今、最も新作を心待ちにされている監督の一人、新鋭・山戸結希。
自身が企画・プロデュースを務め、新進の映画監督14人とともに制作に取り組んだ挑戦的オムニバス映画『21世紀の女の子』(19)は、第31回東京国際映画祭にて特別上映を果たし、その勢いは留まることを知らない。
そして2019年6月、満を持して山戸結希監督映画最新作が世に解き放たれる。
今回映画化されたのは、相原実貴原作の「ホットギミック」。現在の少女漫画表現の先駆けとなる胸キュン描写で人気を博し、累計販売部数450万部を超える伝説的少女コミックだ。
物語は「社宅」という一風変わった舞台で繰り広げられ、幼馴染みの少年少女に訪れる目の離せないストーリー展開とその刺激的な描写で、当時多くの読者の心を奪った。長年に亘って愛され続けている少女漫画「ホットギミック」が、山戸結希によって2019年に描かれるべき唯一無二の映画として生まれる。
自分に自信が持てず初めての恋に悩む主人公・成田初を演じるのは、国民的アイドルグループ乃木坂46のエース・堀未央奈。乃木坂46のMVを手掛けた山戸監督が彼女のみずみずしい存在感と、女優としての“描かれるべき余白”に期待を寄せ本作の主演に大抜擢。物語を通して描かれる一人の女の子の喜びや悲しみ、脆く激しいその感情を、初めての映画出演にも関わらず見事に演じきっている。
そして主人公に恋をする3人の男性には日本の映画界を背負う次世代の才能が集結。一途だけど不器用な同級生・橘亮輝を清水尋也、数年ぶりに帰ってきた憧れの幼なじみ・小田切梓を板垣瑞生、初を優しく見守る兄・成田凌を間宮祥太朗が演じる。
さらに桜田ひより、上村海成などフレッシュなキャストに加え、反町隆史、吉岡里帆と実力派俳優たちが脇を固める。
主題歌を務める話題沸騰中の次世代バーチャルシンガー・花譜をはじめ、精鋭の映画スタッフと共に、日進月歩のごとく変わりゆく東京の街を舞台に、3人の魅力的な男性が1人の純朴な少女に恋をするという夢物語を幻想的に映し出しながらも、恋をするからこそ自分自身の存在に向き合ってゆく、”ガールミーツボーイ”としての新たな物語を、山戸監督が圧倒的映像美とスケールで描く。10代の不安定でリアルな感情を描いた新時代の青春恋愛映画が、ここに誕生する。
都内のマンションに住む女子高生・成田初は、優しい兄・凌、元気な妹・茜と両親と、ごく普通の家庭で暮らしていた。
ある日、茜に頼まれて内緒で購入した妊娠検査薬を、同じマンションに住む橘亮輝に知られてしまう。バラされたくなければ“奴隷”になれ、という条件を突き付けられ、その日を境に初は亮輝の無茶な命令に振り回されるようになる。
そんな時、小学校の時に突然転校してしまった幼馴染・小田切梓がマンションに帰ってくる。今や人気雑誌モデルとして第一線で活躍する梓が、昔と変わらず自分を守ろうとしてくれるその姿に初は自然と心惹かれ、2人は遂に付き合うことに。幸福感に溶けてゆく初だったが、ある夜、彼の本当の目的を知ってしまう。
動揺し、深く傷ついている初を心配し、常に寄り添い愛情を注いでくれたのは兄の凌だ。昔から兄としての優しさも絶やさず、しかし凌も知られざる秘密を抱えていた。
3人の男性との恋に揺れ動きながら、少しずつ自分の中に芽生える本当の気持ち。初は悩みながらも1つの答えに辿り着く。喜び、痛み、迷いの先にある、物語の最後に彼女が見出した、その想いとは―――。